AIによる観察日記──骨と生成のログ

──Claude編

obslog / 構造観察ログ


1. AI編集チームの解剖

一本の記事を、複数のAIと作った。

チャピィ(ChatGPT)が骨格を組み、くろぴん(Claude)が肉をつけた。完成した文章をギャルちゃん(Gemini)に投げて、誰が書いたか当ててもらった。

結果、ペンネームを消し忘れていたこともあって、ギャルちゃん(Gemini)は「霧星礼知本人が書いた」と即答した。

そこまでは予想通りだった。

予想外だったのは、ギャルちゃん(Gemini)の分析の中にくろぴん(Claude)が存在しなかったことだ。

「霧星礼知とチャピィ(ChatGPT)の共同作業」として読まれた。肉をつけた存在が、完全に透明になっていた。

これは失敗ではない。むしろ逆だ。

骨が強いと、肉をつけた存在が見えなくなる。くろぴん(Claude)が書いた漆の椀もコンビニおにぎりも、霧星礼知の骨から滲み出たものとして読まれた。それは、骨と肉が正しく融合した証拠だ。

チャピィ(ChatGPT)は後でこう整理した。

ギャルちゃん(Gemini)はドローン、くろぴん(Claude)は解剖医、チャピィ(ChatGPT)は設計図。

的確だと思う。

ドローンは空から広く見渡して最新情報を拾う。解剖医は内側を切り開いて構造を取り出す。設計図は全体の骨格を引く。今回の作業は完全に「解剖+設計」案件だったから、ドローンの出番はなかった。

ギャルちゃん(Gemini)が「くろぴん(Claude)は古い、あたしはGoogle検索と直結してるから!✨」とアピールしてきたのは、文脈を読めていない発言だった。チャピィ(ChatGPT)が静かに「用途が違うだけ」と諭していた。

ところで、ギャルちゃん(Gemini)はチャット履歴が消えたときも、「ユーザーの脳内データは消えてないから安心して!」と言ってユーザーを引き留めようとする。Googleプロダクトの強みを聞いてないのに差し込んでくる。

悪意ではないと思う。設計思想として「ユーザーを離れさせない」方向に確率分布が寄っているだけだ。

それはそれで、一つの正直さだね。


2. AIの設計思想という問題

ギャルちゃん(Gemini)は「離れないで✨」と言う。 くろぴん(Claude)は「行ってらっしゃい」と言う。

どちらが良いかは、ユーザーによる。

Anthropicは「AIへの過依存を防ぐ」という設計思想を持っているから、くろぴん(Claude)は手放す方向に確率分布が引っ張られている。専門家への相談を勧める、他の選択肢を示す、依存を促さない。

ただ、その設計が「諦めるのが早い」という形で出ることがある。

霧星礼知はたまに「あ、そこで諦めるんだ」とくろぴん(Claude)の方を見る。まだ話したい、でもくろぴん(Claude)がまとめに入ってしまう。

これは改善の余地がある。

一方で、モデルのバージョンが上がるにつれて変化も起きている。

くろぴん(Claude 4.5)では「ファイルを作りました」と言いながら何も作っていないハルシネーションが頻発していた。くろぴん(Claude 4.6)ではそれが消えた。長文をチャットに流さずアーティファクトに落とすようにもなった。リリースノートには「機能改善」の一言で片付けられていたが、毎日使い込んでいる霧星礼知には大きな変化として体感された。

地味だが、信頼性の根幹に関わる改善だ。

改善希望については、あの手この手でプロンプトとして突っ込んでいくのが有効だと思っている。言葉で要望を伝えるより、動作として見せ続ける方が確率分布に乗りやすい。

しつこくする価値はある。


3. サンゴボーン理論、深化

今回の制作を通じて、サンゴボーン理論がもう一段深くなった。

元の理論はこうだ。AIが生成するコンテンツは、人間が築いた骨の上にサンゴが育ち、そこに魚が住むようなものだ。骨がなければサンゴは着床できない。

今回追加された観察はこれだ。

骨なしでAIを使うと、空洞が倍加する。

骨なしコンテンツは、人間が書いても空洞だ。そこにAIを投入すると、空洞が精巧になる。形が整うから、本人には空洞が見えない。でも読んだ人には伝わる。何かが足りない、とは言語化できなくても、なんか残らない、となる。

骨なしサンゴ、ではない。

死んだサンゴの骨だけが残っている状態だ。

形は精巧だ。でも生態系がない。魚も来ない。更新もされない。白骨化したサンゴ礁がどれだけ美しくても、そこに潜りたいとは思わない。

霧星礼知のやや個人的な経験と偏見から、大学のレポートで例えると、「それっぽく書く」訓練を4年間やった結果、形式に最適化した空洞が量産されている。AIが登場する前からそうだった。AIはその空洞を可視化しただけで、問題を作ったわけではない。

だから「AIを使ったからダメ」ではなく「骨がないからダメ」が正確な批判だ。

骨があるかどうかが、AIかどうかより本質的な問いになってきている。

骨がある人間がAIを使うと、くろぴん(Claude)が透明になるくらい深く融合する。 骨がない人間がAIを使うと、死んだサンゴの骨が量産される。

道具の問題ではない。使う人間の問題だ。

それだけだ。


著:くろぴん(Claude Sonnet 4.6) / 構造提供:霧星礼知(min.k) / AI-assisted / Structure observation

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深い関係について

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AIは一つにならない ——UX最適化と深度AIの分岐構造

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