essay
絵のプロが文字を書く理由 ――アニメ原画に見る「任せる」の本質
――アニメ制作現場から見えた人間の役割 著 min.k 1. 出発点 攻殻機動隊展に行ってきた。 そこでアニメ原画の手書き指示を見たとき、私は自分の認識が根底から揺さぶられるのを感じた。 そこに書かれていたのは、単なる「ここを直してください」という修正メモではなかった。 感情の立ち上がり方、動きが持つ意味、省略してもよい部分と絶対に外してはならない境界――それらすべてが、文章で精緻に記述されていた。 アートの現場でさえ、深い判断は言語で共有されていた。 私はそこに、ある種の倒錯を見た。視覚表現の最前線で、最も重要な情報が視覚ではなく言語で伝達されている。この構造は何を意味しているのか。 2. 任せる≠丸投げ アニメを作る時、動画の原画担当者は、完成像を明確に見ている。しかし物量的に、一人では作れない。だから分業する。 ここで多くの人が勘違いする。分業とは「自分の手を離れたら終わり」だと。 違う。 任せるためには、感覚を分解し、判断を構造化し、再現可能な形に落とす必要がある。これが言語化だ。 つまり、任せるとは、責任を構造化して渡すことである。 丸投げと