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飼うことから、残すことへ——日橋一昭と佐藤哲也、二人の動物園人が歩いた四十年
From Keeping to Preserving — Kazuaki Nippashi, Tetsuya Sato, and Forty Years of Japanese Zoos 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. はじめに——この二人について 一九八〇年代半ば、埼玉と姫路 一九八〇年代の半ばのことだ。 埼玉県こども動物自然公園で、一人の飼育員が一羽のオウムの雛と向き合っていた。 オオバタン。インドネシア・モルッカ諸島に生息し、当時すでに急速に数を減らしていた大型の白いオウムである。 国内で初めての人工孵化個体だった。何を、どのくらいの濃度で与えればいいのか、確立した答えはない。彼はチューブで給餌し、その瞬間に雛を喉詰まりで死なせている。数年の試行錯誤を経て、ペット用のミルクから始めて徐々に濃度を上げていくという方法にたどり着いた。 そこへ、兵庫県の姫路セントラルパークで飼育課長を務めていた男が口を挟む。 雛には乳糖の分解酵素がないから