short-story
未処理のままで
著 霧星礼知 一 担当が決まったのは、十一月の末だった。 エリア整理推進課という名前は、それだけで何かを終わらせるために作られた部署に聞こえる。実際、内容はそのとおりで、山間部の交通・医療・行政サービスを順番に見直して、維持コストと残余人口を天秤にかけ、「ここまでやめます」という結論を出す仕事だった。 三浦颯太は二十九歳で、特に志願したわけでも配置を嫌がったわけでもなかった。課内では若手の合理派として認識されていた。感情論を出すとコスト計算が滑ると思っていたし、その思い方は今も変わっていない。 最初の現地調査のために山へ向かったのは十二月の第一週、霧雨の朝だった。 高速を降りてからの道は、地図アプリが三回ルートを修正した。ため息まじりでたどり着いた集落手前のコンビニで一息つこうと、いささか広過ぎる駐車場に車を停め、店の中に入ったとき。 レジ横の電子レンジの前に、一人の男が立っていたのが目に入った。 三十代か四十代か判然としない外見で、くたびれた作業着風のジャケット、缶コーヒーを両手で包んでいた。温めるわけでもなく、食べるものを待つわけでもなく、ただ電子レンジの正面に立