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Duolingoの緑の鳥のクセが強い理由——「人格」をUIに埋め込む設計

Why Is Duolingo's Green Owl So Needy? — Designing an Interface That Has a Personality 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 最近、Duolingoを本格的に触り始めた。 元々語学アプリとして有名どころであるとは知っていたし、なんか緑のフクロウが怖いとか、サボると通知がおかしくなるとか、そういう評判だけは前から耳に入っていた。 で、実際に使ってみると、評判どおり癖が強い。 ただ、使っているうちに、この癖の強さ自体が、意図して設計されたものではないかと思うようになった、というのが今回の話だ。 1. 使ってみて気になったこと 通知の言葉遣い 最初に引っかかったのは、アプリ側の言葉遣いだった。 レッスンを終えると「がんばってるね!」と言われ、間が空くと「

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現代IT技術者像の「フィクション性」——技術者は、何を負い、何を負わないのか

The Fiction of the Modern IT Engineer — What Engineers Owe, and What They Do Not 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 技術企業は、技術について真剣に考える場所なのか IT企業、あるいは「技術企業」と呼ばれる会社に入ると、どこかでこう期待してしまう。 技術的に正しい判断が重視される。良い設計が評価される。長期的な保守性が尊重される。技術者の専門判断が意思決定に反映される。技術について真剣に考えること自体が、この会社の中心にある。 しかし、企業はそもそも技術を最適化するために存在しているわけではない。 企業が同時に考えなければならないのは、売上であり、利益であり、契約であり、納期であり、顧客関係であり、人員であり、予算であり、

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なぜ埼玉に「変わった動物」が集まるのか——埼玉県こども動物自然公園における教育・飼育専門性・希少種保全の継承史

Why Do the Strange Animals Gather in Saitama? — Education, Keeper Expertise, and the Inheritance of Conservation at Saitama Children's Zoo 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 導入——この園の飼育レパートリーはなぜ奇妙に見えるのか 動物のラインナップが、まず不可解である コアラ。クオッカ。プーズー。マヌルネコ。スナネコ。グンディ。ウスイロホソオクモネズミ。ハダカデバネズミ。アマミトゲネズミ。フンボルトペンギン。そして乳牛とヤギとポニー。 埼玉県東松山市の比企丘陵にある埼玉県こども動物自然公園の飼育種を並べると、

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地方に根を張りすぎて巨大生物になった会社——日本の企業城下町と「自前インフラ」の歴史

Companies That Took Root Too Deeply — Six Evolutionary Lineages of Japan's Company Towns 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 山口県に、全長31.9kmの私道がある 山口県には、企業が自分で作った全長約31.9kmの道路がある。 宇部興産専用道路。伊佐のセメント工場と宇部港を結び、途中には全長1,000mを超える興産大橋まで架かっている[1]。一般車両は入れない。信号もほとんどない。ダブルストレーラーが行き交うためだけに存在する、会社の私道である。 普通の感覚なら、こうなるはずだ。 「工場へのアクセス道路を、行政に整備してもらう」 ところがここでは、そうならなかった。 「必要なので、自分で作りました。

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AI時代の開発には結局、何が必要なのか——浮かれている場合ですか?

What AI Actually Changes in Development — Notes from Two Small Builds 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. コードを書く時間は、開発時間ではない Claude Codeを入れて、日常の小さな不便を潰すためのJavaScriptアプリを2本作った。 どちらもシングルファイルで完結する規模で、大規模システムの話ではない。 せっかくなので、開発開始から実装完了まで、どの工程に何分かかったかを記録してみた。Claude Codeの性能を測るためではなく、自分が開発工程のどこで時間を使っているかを見るためである。 一番はっきりしたのは、コードを書いている時間は驚くほど(いや驚かないか)短かったこと。 そして、開発全体の時間は、同じ割合では短くならなかったことだった。 2. 1本目:ブログ管理画面のUserScript 作ったもの ブログの管理画面に、予約投稿の埋まり具合と次の推奨投稿日を表示するUserScr

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うちの推しはぽっちゃりしている。でも、公式は細く撮れ——韓国芸能における愛と画像補正

Why the Roundness We Love Disappears from Official Photos — Retouching, Body Norms, and Fandom Affection in Korean Entertainment 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 検索したら、妙にシュッとしていた 音楽番組で見た身体と、検索して出てきた身体 きっかけは、ごく小さな違和感だった。 若手トロット歌手のパク・ソンオン(박성온)を、音楽番組の映像で見る。2010年生まれ、『ヒドゥン・シンガー7』や『ミスター・トロット2』を経て「トロット神童」と呼ばれるようになった少年である[

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「どう休むか」の前に問うべきこと——疲労の中身は変わったのに、対処だけが昔のまま

What to Ask Before "How to Rest" — The Sources of Fatigue Have Changed, but the Response Hasn't 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 「日本人は休み方を知らない」と、よく言われる。 日本人は、有給を取らない。休日に予定を詰める。旅行に行っても観光を消化する。家に帰っても仕事のことを考えている。 だから疲れが取れない——という話は、もう何十年も繰り返されている。 しかし、この説明は本当に正しいのだろうか。 寝る。横になる。旅行する。趣味をする。運動する。

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現代人と情報——答えを追いかけるより先に、「あなた自身の問い」を取り戻せ

Modern Life and Information — Reclaim Your Own Question Before You Search for Answers 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 私たちは、答えだけでなく「問い」も受け取っている 疲れているとき、人は何を検索するか 疲れが抜けないとき、人はインターネットでこう検索する。 「疲れ 取れない」 「休日 疲労回復」 「年齢 疲れやすい」 すると、説明は大量に出てくる。 睡眠の質を上げる。 サプリを飲む。 運動する。 スマホを見る時間を減らす。 自律神経を整える。 どれも間違ってはいない。実際に効く人もいる。 だが、ここで起きていることを少し丁寧に見たい。

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K-POPは「JR東海」だった——東海道新幹線と在来線の関係から見る韓国音楽の二重構造

K-POP as JR Central — Reading the Dual Structure of Korean Music Through the Shinkansen and the Local Lines 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) K-POPアイドルのステージには、毎回ほぼ同じ完成度がある。 これは奇跡的なものではなく、再現である。この構造は、芸能というより、鉄道インフラなのではないかと思った。しかも、ただの鉄道ではない。 東海道新幹線である。 毎回ほぼ同じ品質で走り、世界中の大都市へ観客を運び、個人の天才性よりもシステムの完成度によって成立する。 運転士の感性が良かった日、という評価が存在しない世界。 だが韓国の音楽番組を見続けていると、別のことにも気づく。 新幹線の横を、飯田線が走っている。

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AIで書いた文章は、「塩素で消毒した水」である

昨今、生成AIは急激に進化していて、文章を書かせると、かなりきれいなものが出てくる。話の筋は通っているし、誤字も少ない。頼めば読みやすく整理してくれるし、こちらが言いたかったことまで察して、それらしい言葉にしてくれる。 これは便利である。私も毎日のように使っている。 ただ、出来上がった文章を読んでいると、ときどき妙な物足りなさを感じる。まずくはない。むしろよくできている。なのに、もう一度読みたいとはあまり思わない。なんだろう、と考えていて、ふと思った。 AIで書いた文章は、塩素で消毒した水に似ている、と。 水道水は安全だ。透明で、変なものが混じっている心配も少なく、蛇口をひねればいつでも同じような水が出てくる。それは文明としてすばらしい。 でも一方で、ちょっと想像してみて欲しいのだけど、旅先で飲んだ妙に硬い水や、山で飲んだ冷たい湧き水のことを、何年経っても覚えていたりすると思う。 文章にも似たところがある。きれいに整っていることと、記憶に残ることは同じではない。少し妙な言い回し、普通なら選ばない単語、唐突な一文。文章を整える立場から見れば削ってしまいたくなるものが、逆に「こ

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『夏目友人帳』は「妖怪の物語」ではない——見えない他者と生きる物語

Why Natsume's Book of Friends Isn't a Story About Yokai — Living Alongside Those We Cannot Fully See 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 「妖が見える」は能力ではなくテーマである 『夏目友人帳』を一見すると、夏目だけが妖怪を見える能力を持っている物語のように見える。 学校に馴染めない少年が、実は特別な力を持っていて、その力ゆえに孤独になり、やがてその力を通じて絆を得ていく——そういう「特殊能力もの」の枠組みで語られることが多い。 しかし作品を巻を追って読んでいくと、そこに違和感が残る。この作品は一度も「妖が見えること」そのものを目的の中心にしていない。

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誰からも書かれない「ちいかわ」論——なぜみんな「思ったより深い」と言うのか

The Chiikawa Essay Nobody Writes — Why Does Everyone Say It Was "Deeper Than Expected"? 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) はじめに: 私はちいかわを見たことがないけれど... 映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』が、とんでもなくヒットしている。 そしてネットを見ると、「感動した」「泣いた」「思ったより深かった」という声が大量に流れてくる。 私はちいかわを見たことがない。原作も読んでいない。 だからこの記事は、映画のレビューではない。 むしろ、気になったのは、作品そのものよりも、なぜこれほど大量の人が、同じタイミングで「感動した」と言っているのか、

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