StructureEssay
水族館を「完成させなかった」人——安部義孝が五十年かけて広げ続けた「自然」の縮尺
The Man Who Never Finished the Aquarium — Yoshitaka Abe and the Fifty-Year Expansion of "Nature" 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 「安部義孝」とは何者か 安部義孝は、アクアマリンふくしまの初代館長である。2000年7月の開館から2021年6月まで館長を務め、その後は名誉館長となった[1]。 ただ、この紹介はかなりのものを取りこぼす。 安部の経歴を並べてみると、水族館一筋の人という像はむしろ崩れる。1964年に上野動物園水族館の開館要員として東京都に入り、20代の終わりにはクウェートでアラビア湾の魚類調査に加わり、40代前半には魚とは無関係の多摩動物公園昆虫園の係長になり、その二年後には東京都建設局の計画課で新水族館の計画を担当している。葛西臨海水族園の準備室長を経て開園に関わり、のちに園長。上野動物園長も務め、そして福島でもう一度、新しい水族館を立ち上げた[