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「思い出になれるIP」は絶滅するのか——終わる作品が文化遺産になる時代
Are “Memorable IPs” Disappearing? — Why Finished Works May Become Cultural Heritage 20世紀の文化は「作品の文化」だった。 物語は始まり、進み、そして終わる。 しかし21世紀のIPは違う。 それは作品ではなく、サービスとして存在している。 更新され、拡張され、終わらない。 これはビジネスモデルの違いではない。 IPそのものの時間構造が変わり始めている。 その結果、ある逆説が生まれる。 終わる作品だけが文化遺産になる。 1. IPには二つの時間構造がある まず整理しておこう。 ONE PIECEやNARUTOに代表される漫画型物語IPは、線形の時間構造を持つ。始まりがあり、蓄積があり、完結がある。物語は最終的にひとつの形に収まる。 一方、ソーシャルゲームやライブサービス型のIPは、まったく異なる時間構造を持つ。開始があり、更新があり、また更新がある。物語によって時間が進むのではなく、更新によって時間が延びていく。 ここまでは以前に論じた。 問題は、この「終われない構造」