技術の外側まで見えるようになった時、私は技術者であることを選んだ
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LingOrmとは何か(2)——タイGLドラマの世界
What Is LingOrm? (2) — The World of Thai GL Dramas: From BL to GAP, and Pairs That Outlast the Show (LingOrm Feature, Chapter 1-2) 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) LingOrmの人気を理解するには、タイGLへの理解が欠かせない。ここでは、発展の歴史としてタイBLの話も交えつつ、解説を試みる。 1. BLが先にあった タイでは、男性同士・女性同士の恋愛を描くドラマをまとめて「シリーズY(ซีรีส์
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技術の外側まで見えるようになった時、私は技術者であることを選んだ
——エンジニアリングの成熟と、プロフェッショナルの二つの道 最近、Claude Certified Architect – Professional (CCAR-P)とGoogle CloudのProfessional Cloud Architect(PCA)の試験内容を並行して眺めていて、改めて感じたことがある。 システム開発というものは、大枠ではそれほど考え方が変わらない。 新しい技術が登場すれば、新しい課題も生まれる。AIを利用するシステムであれば、出力の不確実性やエージェントの権限制御など、従来とは異なる問題を扱わなければならない。 しかし、それに対するアプローチは、基本的には工学的なものである。 問題を分解し、制約条件を把握し、リスクを評価する。そして、検証や監視、権限の分離、障害時の対処といった手段を組み合わせる。 要するに、「解決のための手数」が増えているのである。 もちろん、新しい技術には固有の知識が必要だ。それでも、工学的な判断の基本が別物になるわけではない。 私はこのことを、30代の多くの時間を費やして、ようやく理解できるようになった。 技術的な
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日販の件で早急に考え始めるべきことは、「文化政策」かもしれない——AIによって創作物が無限に供給される時代に、人類は「創作」とどう向き合うべきなのか
Cultural Policy May Be the Real Question Behind the Nippan Case — How Should We Relate to Creative Work When AI Can Supply It Almost Without Limit? 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) ちょっと前のニュースだが、出版取次大手の日販が、米国のAI企業に書籍を販売していたことが報じられた。このことについては、出版業界からは懸念の声が出ている。 この話が著作権や契約の問題として議論されるのは当然だが、この記事ではもう少し先のことを考えたい。AIが人間の創作物から学び、新しいコンテンツを安く大量に生成できるようになったとき、人間は今と同じように創作を続けるのだろうか、と。 1. 日販の件で議論すべきこと
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Spotifyの広告はなぜ「嫌になりすぎない」のか——無料ユーザーを追い出さない摩擦の設計
Why Spotify's Ads Don't Push You Away — Friction Design in an Ad-Supported Free Tier 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) はじめに Spotifyの無料版を使っていて思った事がある。一般的なコンテンツ設計と同じで広告が入るのだが、広告が入るのにSpotifyに悪感情を持つことにならないのはなぜか。 確かに、広告で音楽は中断される。邪魔ではある。 ただ、そこで出てくる感情は「もう使いたくない」ではなく、「まあ無料版だからな」「Premiumならこれが消えるのか」あたりで止まる。 広告付きの無料サービスは、広告量を増やすほど収益が増えるように見える。だから、実際にはユーザーが離脱しない範囲で摩擦を知覚させることのほうが重要なのではないか。この記事ではそこを追う。 1.
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スペイン高速鉄道の自由化とインフラ管理——運行量の増加に、安全を支える仕組みは追いつけるのか
Liberalization and Infrastructure Management in Spanish High-Speed Rail — Can the Systems That Keep Trains Safe Keep Pace with Traffic Growth? 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 二つの事故と、この記事で扱う問い Urdaで起きたこと 2026年10月28日の朝、マドリード〜アンダルシア高速線のトレド県Urda付近、118キロポスト付近で、マドリード発セビリア行きのRenfeのAVEが、前方に停車していたiryoの列車に後方から衝突した[1]。iryo側は29日現在、当該列車を6076便、乗客146人と発表している[2]。カスティーリャ=ラ・マンチャ州首相は29日未明、
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「フルスタック」は二重に都合がいい——企業の人材コストと、エンジニアの万能感が出会う場所
Full-Stack Is Convenient Twice Over — Where Corporate Staffing Costs Meet the Engineer's Sense of Omnipotence 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 「フルスタックエンジニア」という言葉 フロントエンドもできる。バックエンドもできる。DBも触れるし、クラウドも扱える。TerraformやCDKでインフラも書ける。CI/CDも組めるし、コンテナも動かせる。 「フルスタックエンジニア」はおおむね、こういう人を指すことになっている。 この言葉は、求人票にも、自己紹介にも、登壇者のプロフィールにも出てくる。ほとんどの場合は褒め言葉として使われていて、否定的な意味で使われる場面はあまり見ない。 扱える技術が増えていくこと自体には、
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「ブティック型フィットネス」は何を売っているのか——「運動」ではなく「継続」を設計する業態について
Boutique Fitness: What They Actually Sell — Designing Adherence Rather Than Exercise 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 開始時刻のあるジム 入ってみたら劇場に近かった 最近 jump one に通い始めた。始める前の認識は「暗いスタジオで音楽をかけながらトランポリンを跳ぶジム」くらいのもので、要するに置いてある器具が変わっただけだと思っていた。 だが実際に行ってみると、その組み立て方は、かなり独特だ。開始時刻が決まっていて、客が一斉に入り、照明が落ち、大音量で音楽が鳴り、インストラクターが正面に立ち、45分のプログラムを全員で最後まで走るのである[1]。 これは、運動設備を使いに行く施設というより、一日に何公演も上演される小劇場に近い。 ...という比喩のつもりが「設計」だった 面白いのは、
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LingOrmとは何か(1)——二人の女優、その素顔とビジネス
What Is LingOrm? (1) — Two Actresses, Two Paths: The Women Behind LingOrm (LingOrm Feature, Chapter 1-1) 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 2026年10月17日、バンコク郊外ムアントンタニーのIMPACT Arenaで、LingOrmのコンサート「THE WORLD BETWEEN US」が開かれた。公演は翌18日と合わせて2日間行われた[1]。 LingOrmは、Lingling Kwong(リンリン・クォン)とOrm Kornnaphat(オーム・コーンナパット)の二人を指す呼び名である。二人はアイドルグループのメンバーではなく、
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TWICEモモ、誕生日にもんじゃ焼き屋でファンイベントやるってよ——80人限定「MOMOheji」とは
TWICE MOMO Holds Her Birthday Fan Event at a Monjayaki Restaurant — What Is the 80-Person "MOMOheji"? 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 2026年10月26日、JYP EntertainmentはTWICEモモの誕生日記念イベント「MOMOheji」の開催を告知した[1]。日程は11月9日、モモの誕生日当日。会場はソウル・鍾路3街のもんじゃ焼き店「もへじ」で、参加者は80人。参加者には食事が出る。 世界的なグループのメンバーが、誕生日の夜に鉄板のある店でファンと過ごす。一体なぜもんじゃ焼き屋なのか。公式告知と、9月に開かれたナヨンの誕生日イベントを並べて考えてみたくなってしまった。 1.
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K-POPが「上手さ」と引き換えに失ったもの——90年代韓国音楽の自由化と、その先にあった「工業化」
What K-pop Traded for Its Skill — The Liberalization of 1990s Korean Music and the Industrialization That Followed 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 最近のK-POPは、とにかくいろいろなことが上手い。 歌が上手い。ダンスが上手い。映像も美しい。楽曲は数十秒ごとに聴き手を離さないよう細かく設計されている。 それなのに、時々ひどくつまらない、と感じてしまうのはなぜだろう。 この違和感を「昔の音楽の方が良かった」で片づけると、たぶん何も見えなくなる。 今のK-POPは、音楽を上手く作る技術を極めた産業である。問題があるとすれば、極めたことそのものではなく、極める過程で、上手く作ることとは違う種類の能力を育てる余地が小さくなったことではないか。
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タイ芸能界を支えるボーカルコーチ、Kru Koy(スパーパン・パラコーンクン)
BLACKPINKリサの育成から、俳優の発声指導まで 調査日:2026年10月25日 調査対象:Supaphan Palakornkul(สุภาพรรณ ผลากรกุล) 活動名:Kru Koy(ครูก้อย) Instagram:@krukoyzz 1. 概要 Kru Koy(クルー・ゴーイ)は、タイの著名なボーカルコーチであり、歌手・俳優・アイドルなどを対象に、歌唱技術、発声、話し方、演技における声の表現を指導している。 BLACKPINKのLISA(リサ)、GOT7のBamBam(ベンベン)をはじめ、タイ国内外で活躍する多数の芸能人を指導してきた。 1997年から発声技術を学び、2026年時点で約29年の学習・指導経験を持つ。米国で開発されたSpeech Level Singing(SLS)の指導体系を学び、2008年には創始者Seth Riggsから直接指導を受けた。
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「優しさを利用すること」が最適解になりつつある社会
タイ旅行から帰ってきて、考えたことがある。 私たちの社会は、優しい人を育てているのだろうか。それとも、優しい人を利用する技術ばかりを発達させているのだろうか。 例えば、誰かが問題を起こしたとする。 本来なら、問題を起こした本人や、その場に責任を持つ人間が対処すべきだろう。 しかし、実際にはそうならないことがある。 誰も動かない。誰も責任を取らない。困っている人がいても、見て見ぬふりをする。 しばらくして、見かねた誰かが動き出す。 その人は、特別な権限を持っているわけでも、対処する義務があるわけでもない。ただ、困っている人を放っておけなかっただけだ。 ところが、一度その人が問題を解決すると、周囲は学習する。 「あの人に任せれば何とかなる」 こうして、善意はいつの間にか無償の労働力へと変わっていく。 * この構造の恐ろしさは、責任を果たさないことが合理的な選択になってしまう点にある。 問題を起こしても、誰かが片付けてくれる。面倒なことに関わらなければ、自分の負担は増えない。 反対に、責任感を持って行動する人ほど、仕事や負担を抱え込む。 つまり、誠実