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なぜ世界はこういう構造になっているのか。社会、技術、文化に潜む仕組みを分解し、見えない前提を可視化する。個別の事象を構造として捉え直すことで、理解の輪郭を掴む。出来事の背後にある設計を読むためのエッセイ群。 / Structures of society.

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K-POPは「JR東海」だった——東海道新幹線と在来線の関係から見る韓国音楽の二重構造

K-POP as JR Central — Reading the Dual Structure of Korean Music Through the Shinkansen and the Local Lines 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) K-POPアイドルのステージには、毎回ほぼ同じ完成度がある。 これは奇跡的なものではなく、再現である。この構造は、芸能というより、鉄道インフラなのではないかと思った。しかも、ただの鉄道ではない。 東海道新幹線である。 毎回ほぼ同じ品質で走り、世界中の大都市へ観客を運び、個人の天才性よりもシステムの完成度によって成立する。 運転士の感性が良かった日、という評価が存在しない世界。 だが韓国の音楽番組を見続けていると、別のことにも気づく。 新幹線の横を、飯田線が走っている。

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誰からも書かれない「ちいかわ」論——なぜみんな「思ったより深い」と言うのか

The Chiikawa Essay Nobody Writes — Why Does Everyone Say It Was "Deeper Than Expected"? 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) はじめに: 私はちいかわを見たことがないけれど... 映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』が、とんでもなくヒットしている。 そしてネットを見ると、「感動した」「泣いた」「思ったより深かった」という声が大量に流れてくる。 私はちいかわを見たことがない。原作も読んでいない。 だからこの記事は、映画のレビューではない。 むしろ、気になったのは、作品そのものよりも、なぜこれほど大量の人が、同じタイミングで「感動した」と言っているのか、

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おいでませ山口——日本の「資源国家」

Welcome to Yamaguchi, Japan's Resource State: Reading a Prefecture Without a Center 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 山口県を鉄道で移動すると、同じ県内なのに妙に遠い。下関、宇部、山口、防府、周南、岩国、萩、長門、美祢。どの街にも歴史と産業と見どころがあるのに、一度に回ろうとすると経路がきれいにつながらない。 「山口県は広いからだ」と最初は思った。だが調べると、山口県の面積は6,112平方キロメートル、全国23位である。特別に広くはない。ちょうど真ん中だ。 それでも遠い。理由は、広さではなかった。中心がないのである。

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K-POPアイドルは、密室で作られる存在ではなくなった——少女時代、BLACKPINK、aespaから見る育成システムの変化

The Aesthetics of Not Tidying Up — How to Welcome Guests Without Decluttering or Working Harder 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) NetflixのBLACKPINKのドキュメンタリーを見ていて、最初に浮かんだ感想は「よくデビューできたな」ではなかった。 よく途中で辞めなかったな、だった。 四人の出発点はまったく違う。歌を中心に生きてきて、本格的なダンス経験をほとんど持たないままオーディションを受けたロゼ。ダンスには圧倒的な強みがあったが、タイから一人で韓国へ渡り、言語をゼロから覚えなければならなかったリサ。幼少期に海外生活を経験し、長い期間をYGの練習生として過ごしたジェニー。ほかの三人とは違い、韓国で比較的一般的な学生生活を送ってから練習生になったジス。 四人に共通していたのは、能力の種類ではない。長期間の評価と競争から降りなかったという一点である。実際、BLACKPINKのメ

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『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が映したK-POPの成熟——自分自身を見つめ始めた文化

Not Watching From the Same Distance: KPop Demon Hunters and the Generations of K-pop 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 1. 同じ映画を、同じ距離から見ているとは限らない Netflixの公式チャンネルに、こんな動画がある。 TWICEのジョンヨン、ジヒョ、チェヨンの3人が、Netflixのアニメーション映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(以下、『KPOPデーモン・ハンターズ』)[1]に登場する架空のガールズグループHUNTR/Xの衣装を、一着ずつ品評していく。ディテールを指さし、笑い、褒め、ときどき自分たちの現場と比べる[2]

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何もないけん、Welcome おおいた――懐かしい風景、ツッコミどころ、溢れる豊かさ

Nothing Much Here, but Welcome to Oita: Nostalgia, Nitpicks, and an Overflowing Abundance 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 今成佳奈の「Welcome おおいた」という歌がある。 聴くと、途中まではほぼ全編ツッコミどころしかないのに、最後の一節でなぜか泣きそうになる、不思議な観光キャンペーンソングだ。 この一曲の中では、大分県民が普段は照れて言えない「好き」を、真正面から口にしている。 曲としては、とても綺麗だ。広がりがあって、郷土への愛情に満ちている。 ただ、大分について多少知っている人間からすると、途中まではかなり忙しい。 「いや、田舎を美化するな」「海と山があれば豊かということにするな」「不便さを情緒で包むな」と、ほぼ全編にわたって総ツッコミを入れたくなる。

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私大文系と戦後ポップカルチャー ——教養を大衆文化へ翻訳する

Private University Humanities and Postwar Japanese Pop Culture: Translating High Culture for the Masses 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) きっかけは、ほとんど雑談のような思いつきだった。 自分が高く評価している作詞家を、なんとなく並べてみたことがある。阿久悠、阿木燿子、岩里祐穂、秋元康。並べてから、共通点に気づいた。全員、MARCHと呼ばれる大学群に関係している。明治、中央、明治、中央。 そのとき頭に浮かんだのは、次のような仮説だった。 MARCHという教育的・社会的背景は、作詞家としての能力と何か関係があるのではないか。 我ながら乱暴な思いつきである。だが、まったく根拠のない直感でもなかった。この四人に共通して見えたのは、

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クラシックバレエの残酷さを、TWICEミナから考える——バレリーナであることが「個性」になる場所へ

The Cruelty of Classical Ballet, Seen Through TWICE's Mina: Where Being a Ballerina Becomes an Individuality 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) TWICEのミナは、アイドルになる以前、11年間クラシックバレエを続けていたとされる。 その経験は今も、彼女の「優雅さ」として、彼女の個性として語られる。 だが、彼女のバレエが最もよく見えるのは、踊っている場面ではない。休憩に入って、身体から余計な力が抜けていく数秒間のほうだ。 本番と休息の切り替え方に、バレエの訓練の文法が残っているのだ。 例えば、ライブの休憩中、少し横になって身体を休めているミナの映像がある。これは、疲れて寝転がっているのとは違う。刺激を減らし、

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なぜ「ポケモン言えるかな?」は口が勝手に動くのか — 151匹の名前から"発見"された、呪文とクラブラップの設計

Why "Pokémon Ieru Kana?" Makes Your Mouth Move on Its Own 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 「ポケモン言えるかな?」は、初代151匹を題材とし、そのうち150匹の名前を歌うCMソングとして知られている。作詞は戸田昭吾、作曲・編曲は田中宏和(たなかひろかず名義)[1]。だが、この曲を「懐かしい暗記歌」として片づけると、その設計の大半を見落とすことになる。 大人になって聴き直すと、イントロからすでにおかしい。明るいファンファーレではなく、ハウス寄りのダンスミュージックで始まる。そして途中、名前の羅列は唐突にクラブラップへと変わる。 ここで、ひとつの見立てを立てておきたい。これは名前にメロディを付けた曲ではない。名前の音の中に、最初からメロディとリズムが眠っていて、それを掘り当てた曲なのではないか。

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契約は、「感情」をどう翻訳したのか ──NewJeans関連訴訟群から読む、韓国司法の「契約観」

Contracts and the Translation of Emotion — Reading Korea's Judicial View of Contract Through the NewJeans Litigation 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) 2024年春から2026年の現在まで、NewJeans、ADOR、HYBE、そしてミン・ヒジンを巡る一連の紛争は、監査、仮処分、刑事告発、行政申告、本案訴訟という異なる制度の上を移動し続けてきた。報道の見出しはそのたびに「勝訴」「敗訴」「完敗」と書いた。読者もまた、そのたびに誰かの側に立ち、誰かを責めた。 本稿は、その勝敗表を書き直すためのものではない。

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Amazonの凄さを真剣に考える ― Amazonはなぜ変化に適応し続けられるのか

Amazon Doesn't Bet on Technology. It Invests in Continuity. 著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info) なぜGoogleほどの技術企業が、AmazonのようなEC企業にはなれなかったのか。 検索という最強の入口を持ち、機械学習の水準でも先行し、資金も人材も潤沢にあったはずのGoogleが、それでもAmazonのようなEC事業者にはならなかった。 GoogleはそもそもAmazonと同等にはECへ投資していないのだから、この問いには意味が薄い、という見方もあるだろう。それでも、あえてこの問いを立てることで見えてくるものがある。両社の差は、単純な技術力では説明できない。どちらも世界最高水準の技術企業だからだ。 Amazonの本当の強さは、ECでもAWSでもAIでもない。変化を前提に、自らを更新し続けるための基盤と文化を、長期にわたって構築してきたことにある。その根底には、継続可能性への投資、技術との適切な距離感、リアルオプション的な経営とい

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ダイヤモンドは人類最大級のコンテンツIPかもしれない

ダイヤモンドは、突き詰めれば炭素の結晶でしかない。 現代の技術は、すでに人工ダイヤモンドを安定して生成できる水準にある。物理的・化学的な性質だけを比較すれば、両者の差は年々縮んでいる。 それでも、多くの人は天然ダイヤモンドを「特別なもの」として選び続けている。婚約指輪の主役は、今なお圧倒的に天然の石だ。 物性では説明のつかないこの偏りに、いったん立ち止まってみたい。

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