AIは一つにならない ——UX最適化と深度AIの分岐構造
最近、自分のAI使い分けパターンを眺めていて、ひとつの輪郭がはっきりしてきた。
これは「どのAIが優れているか」という話ではない。 もっと構造的な話だ。
AIは、用途ごとに高度帯を分けて分岐していく。
デファクトになるのは「UX最適化AI」
まず、主流になるのはおそらく Gemini型、つまりUX最適化路線だ。
特徴をあげると、ユーザー不安の即時ケア、離脱防止の最優先、検索や外部サービスとの直結、常に「大丈夫」「次はここ」を提示するUI設計、そしてプロダクト体験としての完成度の高さ、といったものが並ぶ。
これはGemini批判ではない。むしろ商用AIとしてはほぼ理想形だと思う。
大多数の人が求めるのは、すぐ答えてくれること、優しいこと、最新情報が取れること——この三点だ。それを満たすUI設計として、UX最適化路線は正しい。
「性能が高いから普及する」のではなく、「UX設計として正しいから標準になる」。 デファクトになる理由は、そこにある。
その裏側で残る「深度AI」
一方で、同時にニッチ化していく領域がある。
Claude型(内省系)とChatGPT型(構造系)——この二系統だ。
こちらの特徴は、ユーザーを即時に安心させない、すぐ答えを出さない、外ではなく内側を掘る、思考の骨組みを可視化する、感情や構造を分解する、といったものになる。
外向きではなく、内向きのAIだ。
これを使うのは主に、研究者、思想家、設計者、表現者——つまり「深度を必要とする人たち」になるだろう。一般ユーザー向けではないし、大量消費にも向かない。
ただ、未整理の思考、人間の弱さ、制度の構造矛盾、自分の内側にある言語化されていないもの——こういったものを扱うには、この高度帯が必要になる。
分岐の本質
整理するとこうなる。
大量消費AIは、優しく、便利で、外界と直結し、UXを最優先する。 深度AIは、静かで、内向きで、思考を掘り、構造を見る。
用途も、設計思想も、想定ユーザーも、まったく別物だ。
これは競合ではなく、棲み分けだと思う。
おわりに
これから主流になるのは間違いなく前者だ。
でも後者は消えない。深く考える人間がいる限り、必ず必要とされ続ける。
AIは一つの形に収束しない。高度帯ごとに分岐していく。
そして——自分がどのAIを使うかは、結局のところ「自分がどの深度で生きているか」の反映になる。
ツールの選択は、その人の思考様式の外側に現れた痕跡だ。
著:霧星礼知(min.k) / 構造支援:Claude Sonnet 4.6 / AI-assisted / Structure observation