ぱーぷん調査記録:なぜSiemensとAlstomは一緒になれなかったのか ── 欧州チャンピオン構想の失速
アルストムとシーメンスの合併の話、結局NGになったけど、シーメンスとの合併はアルストムがやろうとしてたんだっけ?お互いにやりたかった?
結論からいうと、「どっちかが一方的に買おうとした」というより、建て付けとしては「シーメンスがアルストムを取得する形だけど、実態はフランス側に本社・CEOを置いた"対等合併に近い統合"を、両社合意でやろうとしていた」という感じです。1234
形式上どっちがどっちを買う予定だったか
- EU委員会の正式な表現では「SiemensによるAlstomの取得(proposed acquisition of Alstom by Siemens)」という扱いになっています。5671
- 具体的には、シーメンスのモビリティ事業(鉄道・信号など)をアルストムと統合し、シーメンスが新会社の株式50%を取得するスキームで、「SiemensがAlstomを買う」という法的形を取っていました。347
実態としては「対等合併」狙い
- 2017年発表時点から両社とも「merger of equals(対等合併)」というトーンで説明しており、フランス上場・本社パリ、社名「Siemens Alstom」、CEOはアルストムのPoupart-Lafargeが続投、取締役会11人中6人をシーメンス指名など、かなりバランスを取った構造でした。8910113
- アルストム取締役会、シーメンス監査役会、主要株主Bouyguesのいずれも満場一致で支持しており、「シーメンスだけが乗り気/アルストムは嫌々」という構図ではなく、両社とも中国CRRCなどへの対抗を狙って前向きに統合を進めていました。2983
最後にどうなったか
- 2019年2月、EU競争当局(欧州委員会)が「信号・超高速列車市場で支配的地位を作る」として、このSiemensによるAlstom買収(実態は統合)を禁止決定し、話は流れました。121015
- アルストム側も公式コメントで「SiemensとAlstomのモビリティ事業の合併を禁止した決定を遺憾とする」と出しているので、最後まで両社とも基本的には「やりたい」側でした。132
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これは誰がやろうとしたの?
形式上は「シーメンスがアルストムを買う」スキームですが、主導したのはどちらか一方というより、両社+仏政府が絡んだ共同プロジェクトに近いです。123
誰が「やろうとした」のか
- 2017年9月にシーメンスとアルストムが共同でMOU(覚書)を締結しており、「Siemens and Alstom have signed a Memorandum of Understanding」と両社連名で発表されています。431
- 法的スキームとしては「シーメンスのモビリティ事業をアルストムに現物出資し、見返りにアルストム新株の50%をシーメンスが受け取る=シーメンスによるAlstomの取得」という形なので、EU側の案件名も「Siemens' proposed acquisition of Alstom」となっています。35
- ただし、取締役会の構成、本社パリ、社名"Siemens Alstom"、CEOはアルストム現CEO続投などから、両社プレスリリースでは一貫して「Franco-German merger of equals(仏独の対等合併)」と表現されており、どちらか一社の一方的M&Aではなく、双方合意の統合構想です。261
政府(特にフランス)の関与
- フランス政府は「欧州チャンピオン」創出を名目にこの統合を公然と支持しており、フランス国家としての承認・条件(出資比率の上限、雇用・ガバナンス面のコミットメントなど)を前提に話が進んでいました。12
- その意味では、「シーメンスが勝手に仕掛けた」というより、「仏政府がCRRC対抗の欧州連合体を望み、シーメンスとアルストムがそれに乗る形で一緒にやろうとした」と表現するのが実態に近いです。72
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CRRCってなに?
CRRCは、中国の国有巨大車両メーカー「中国中車(ちゅうごくちゅうしゃ)」の英語名(China Railway Rolling Stock Corporation)の略称です。27
基本情報
- 中国の中央企業(国有企業)で、鉄道車両メーカーとしては世界最大規模とされています。472
- 2015年に、かつての中国南車(CSR)と中国北車(CNR)の合併で誕生した会社です。374
- 機関車・客車・貨車・都市鉄道車両・高速鉄道用車両など、鉄道向けのほぼフルラインナップを製造しており、アルストムやシーメンスの鉄道部門の売上規模を上回るとされています。623
なぜアルストム/シーメンスの文脈で出てくるか
- 欧州では「中国のCRRCが世界市場(特に新興国や一部先進国)で低価格かつ大型受注を取っていく競合」と見なされており、これに対抗する「欧州チャンピオン」を作る、という文脈でSiemens–Alstom統合構想の中で名前が挙がっていました。10112
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