近頃、ファッションで自分のスタイルができてきて、買い物をする回数が減った。とはいえ、ファッションが好きな私は、今でも「その中での一軍」を探す旅を続けている。だから、お金を使うことから完全に卒業できたわけではないのだけれど。
ファッションを含む美容産業は、構造的に「答えを与えないこと」で成立している。企業側は商品の情報を流す時、基本的には「これを買えば解決する」という形へと、人を導きたいからだ。次々に新しい正解を提示し続けることで、消費は回り続ける。
昨今流行した骨格診断やパーソナルカラーも、その構造と無関係ではない。もちろん、あれらが参考になる場面はある。ただ、人間の個性に比べると、分類のパターンはかなり限られている。実際には、自分が本当にその分類に当てはまるのか曖昧なことも多い。
そして、それらの分類は、企業側が用意した「ある程度整理されたスタイルセット」を販売することとも結びついている。つまり、そのパターンの外へ少しずつ出ていかない限り、本当の意味で自分のスタイルは作られない。
自分の顔の形には、どんなメガネが合うのかを真剣に考える。雑誌の「モテメイク」をそのまま真似するのではなく、なぜそれが自分に似合うのかを探る。ハイライズかローライズか、ストレートかスキニーか、バギーかブーツカットか。そういう細かな違いを、自分の体型や雰囲気と照らし合わせながら選んでいく。
そうやって少しずつ、自分軸のスタイルは形になっていく。
けれど、自分のスタイルを作るには、それなりの努力が必要だ。雑誌やInstagramで話題のスタイルをそのまま真似するのは楽である。しかし、そのスタイルを作っている側は、実際にはかなりの時間をリサーチに使っている。その過程を飛ばして「流行だけ」を借り続けていると、毎シーズンごとにまたゼロから正解探しをすることになる。
すると、ライフステージが変わった時に、おしゃれを続けること自体が難しくなる。仕事や家庭で時間の使い方が変わると、毎回流行を追いかける余裕はなくなるからだ。そうして、おしゃれそのものから離れてしまう人も少なくない。それは少し悲しいことだと思う。
自分のスタイルを作っておけば、ライフステージが変わっても、小さな調整だけでおしゃれを続けられる。忙しくなっても、「何を着ればいいかわからない」という状態に戻らずに済む。
たぶん、自分のスタイルを持つというのは、流行から自由になることではなく、「流行を自分の側で選べるようになること」なのだと思う。