アサゴハン国
朝ごはんについて、考えていた。
朝ごはんについてを考えていたはずだった。
しかし
「アサゴ・ハーン」
と言った瞬間、何かがおかしくなった。
いや、おかしいのは名前である。
アサゴ・ハーン。
なんだその、朝食のメニューを統一しそうな名前は。
チンギス・ハーンと同じ語尾なのに、通貨が納豆かもしれない。
なんだこれは。
...いや待てよ。
アサゴ・ハーンがいるなら、
ヒルゴ・ハーン
もいるのではないか?
いる。それは昼食を文明の頂点と考える帝国である。
定食文化が異常に発達している。
...コホン、ということはだ。
ヨルゴ・ハーン。
これもいるよな。
夜食こそ人類の本音だと主張し、シメラーメンを外交カードとして使う危険な国家だ。
まずい。三食がモンゴル帝国になってしまった。
いや、まだ戻れる。これはただのダジャレだ。
ここで止めればいい。
……。
オヤツ・ハーン。
いた。
なんでいるんだ。
しかも一番平和そうである。
三大帝国が国境で睨み合っている横で、オヤツ汗国だけが紅茶を飲んでいる。
おいなんだその国。地図を見せろ。
いや、脳裏に見えた。
首都はまだ分からない。
でも、
カステラ平原
はある。
これは確定だ。誰が見てもある。
地平線まで焼き色が続いている。
その東には、
バウムクーヘン環状山脈。
南には、
プリン湾。
西には、
シベリア大湿原。
*三角のあいつね
地図が勝手に埋まっていく。
いや違う。地図じゃない。
これはそういう国がもともと存在していたのだ。こちらが知らなかっただけで。
だから「カステラ平原」という名前にも全く違和感がない。
むしろ、
「カステラ丘陵」ではない。「カステラ高原」でもない。
平原である。
焼き色がどこまでも続くからだ。
そういうことだったのか......
いや......朝ごはんを考えていたはずなんだが。