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「何を書くか」より、「何を書かないか」を決める

良い記事は、扱うテーマが広いことではない。

むしろ、どこまで書かないかを決められることのほうが重要だと思っている。

ただし、これは「見えている世界が狭くていい」という意味ではない。

書き手は、まず対象をできるだけ広く見なければならない。

様々な視点から観察し、異なる立場や解釈も理解し、それぞれの論点がどこにつながっているのかを把握する。その上で、「今回はここだけを書く」と意識的に切り出す。

私はこの順番が大切だと思う。


最初から一つの視点しか持っていなければ、それは「テーマを絞っている」のではなく、「見えていないだけ」になってしまう。

一方で、見えたものをすべて書いてしまうと、今度は読者が扱えない。

読み手が受け取れる情報量には限界がある。だから書き手は、複雑な世界を理解した上で、その中から一本の線を選び抜く必要がある。


今回Amazonについて考えたときも同じだった。

物流、AWS、AI、組織文化、経営思想、競争環境──どれもAmazonを語るうえでは欠かせない。

しかし、それらを並べても記事にはならない。

そこで今回は、「継続可能性」という一本の視点を選んだ。

物流もAWSもAIも、その視点を支える材料として扱う。

だから書いていない論点があるのではない。

見えているけれど、今回は書かないと決めているのである。

書くとは、知っていることをすべて並べることではない。

広く観察し、深く理解し、その上で読者にとって最も価値のある一本の線を引くことだと思っている。