THE WORLD BETWEEN USとは何か(3)——公演当日、チケット引き換えの列

What Is THE WORLD BETWEEN US? (3) — Collecting a Ticket on Concert Day

著:霧星礼知(min.k)|mncc.info / Author: Reichi Kirihoshi (mncc.info)


LingOrm 特集
THE WORLD BETWEEN US

本記事は、全4章予定の連載 「LingOrm『THE WORLD BETWEEN US』をめぐる旅」 の一部です。

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前節では、Trip.comでチケットを確保するまでの二日間を書いた。

この節では公演当日、会場で紙チケットを受け取るまでを書く。これがまた味わい深い体験となった。

1. 公演当日の朝

2026年10月17日。LingOrm「THE WORLD BETWEEN US」のDay 1当日を、筆者はバンコクで迎えた。

LingOrmのイベントはおろか、海外でアーティストを観るのが今回が初めてである。

チケットは、前節の記事の通り、Trip.comのチケット付き宿泊商品で購入していた。手元にあるのはTrip.comのアプリに表示されるQRコードで、これだけでは入場できない。当日、会場でQRコードとパスポートを見せ、紙チケットに引き換える必要があった。

午前10時ごろ、宿泊先のホテルを出た。会場までは鉄道で行くことにした。バンコクの道路渋滞を避けたかったのと、単純に鉄道が好きだから、という理由だった。

2. IMPACT Arenaへ

MRTを三路線乗り継ぐ

ホテル最寄りのRama 9駅からMRTブルーラインでTao Poonへ出て、パープルラインでNonthaburi Civic Centerへ。そこからピンクラインに乗り換えた後、Muang Thong Thaniから支線に乗り換え、IMPACT Arena駅へ向かった。

この乗車の話は面白いのだが、長くなるので別の旅行記で書くことにする。

静かな駅と展示施設

IMPACT Arena駅周辺に着いたのは12時ごろ。駅は思ったより静かで、本当にここでライブをやるのか?と思ったくらいだった。

IMPACT Arena駅から会場へ向かう通路。 駅名とは異なり、駅に近いのは展示施設のIMPACT Challengerで、アリーナへは館内を歩いて向かう。

駅名はIMPACT Arenaだが、駅に近いのはアリーナより展示施設のIMPACT Challengerのほうということのようだ。アリーナまでは、感覚では徒歩5分ほど。展示施設側の屋内通路を歩いていく。

その区画ではイベントをやっていないようで、人がほとんどいなかった。冷房も効いていないように感じられ、蒸し暑い。理由はわからない。

しばらく歩くと動く歩道があり、そのあたりから飲食店が並び始めた。カフェ、香港料理、日本料理の店があったと記憶している。少しずつ人が増えてくる。

ThaiTicketMajorの窓口

エスカレーターで1フロア下りると、急に人が多くなった。ThaiTicketMajorのロゴが目立つように掲げられた紙チケットの引き換え窓口があり、長い行列ができている。

ThaiTicketMajorの紙チケット引き換え窓口。正面のガラスにはThaiTicketMajorの名前が大きく掲げられ、引き換え所の横にもロゴがあり、大変わかりやすかった。ここには一般販売で購入した観客の列ができていた。Trip.com購入者の引き換え場所は別に設けられている。実は写真の奥、フェンスの向こう側に見える、列というより人の塊のようなものがそれなのだが、当時の筆者は知る由もない……(笑)。

ThaiTicketMajorは一般販売の窓口で、筆者が買ったのはTrip.comだ。最終的に受け取るのはThaiTicketMajorのチケットだが、引き換えの窓口は別になっている。Trip.comの引き換え場所を探すことにした。

3. 引き換えの条件とセキュリティチェック

Trip.comの引き換え条件

筆者が買った商品の内容と、引き換えの条件は次のとおりだ。

項目 内容
チケット区分 5,500 THB
座席 アリーナSG(ランダム割当)
宿泊 1泊付き
引き換え場所 IMPACT Arena
引き換え時間 10月17日 11:00〜17:30
必要なもの Trip.comの注文詳細画面に表示されるQRコード(スクリーンショット不可)、購入時の登録情報と一致するパスポート
入場券 現地で発行される紙チケット

引き換え場所は告知があった通り、SNSで案内され、会場図も公開されていた(下記投稿)。場所自体は前もって知ることができた。わかりにくかったのは、現地でそこへどう入り、どの列に並べばいいかのほうだった。

最初の関門:謎の簡易セキュリティチェック

Trip.comの引き換え場所は、簡易的なセキュリティチェックの先にあった。見ていると、ThaiTicketMajorの紙チケットを持った人たちが、それを見せて通過していく。

筆者はその紙チケットを受け取りに来ている。チケットを受け取るために、チケットが必要なのか? と一瞬思った。

別の入口を探してみたが見つからず、係員にGoogle翻訳で「Trip.comの紙チケットを受け取りたいが、どうすればいいか?」と打ち込んだ画面を見せ、尋ねた。するとTrip.comのQRコードを見せるよう言われ、荷物検査を受けて通過できた。係員の対応は適切で、QRコードがあれば通れる仕組みだった。初めて来た人には、その手順が見えなかっただけである。

事前の案内では、スポンサーの販売品以外の飲食物は持ち込み禁止とされていた。これはアリーナ内についての規定だったが、このときの筆者はその範囲をよくわかっていなかった。セキュリティチェックを抜けたあと、外に出てまた入れるのかもわからなかった。

4. 最後尾を探す

券種別の窓口

Trip.comの引き換え場所には券種別の窓口表示があり、筆者が必要な「5500 THB」も見つかった。

困ったのはそこからだった。窓口の前から伸びる列は壁に突き当たって折れ、その先の広いスペースへ続いている。複数の列が入り組んでいて、どこが最後尾なのか、その最後尾がどの窓口につながっているのかがわからない。並んでいる人は数百人規模に見えた。

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Trip.comチケット引き換え所付近の列の様子。 券種別の窓口が設けられていたが、行列は壁の先まで伸び、最後尾を探すのが難しかった。

図:Trip.comチケット引き換え所の行列の混線(筆者の記憶に基づく概念図)。 券種別の窓口表示はあったが、壁の向こうで複数の列が入り組み、最後尾と窓口の対応関係が判別しにくかった。実際の会場配置を正確に再現したものではない。

人の流れを追って同じ場所を何度も行き来し、係員にも3回ほど「自分はどこへ並べばいいのか?」と尋ねた。返ってくるのはだいたい、列を指さして「その列に並んでください」という回答だった。「知りたいのはその列の最後尾だ」と説明すると、係員もやや困ったように笑っていた。

つまり「どの窓口へ行けばいいか」は判別できても、「どこから並べばその窓口に着くか」には、係員さえ答えられない状態だったのである。列が長く伸びた時点で、表示と実際の列の対応が切れていたのだと思う。

睨まれる

最後尾を探して歩き回っているうちに、中国人の女性ファンに睨まれた。それはなんとも形容し難い、「漫画でしか見たことのないような形相」だった。

おそらく、筆者が列に割り込もうとしているように見えたのだろう。しかし、こちらはどこに並べばいいのかもわかっていないのである。内心「知らねえよ!」と思いつつ、謝る身振りをしてその場を離れた。口論にはなっていない。

正直、怖かった。最後尾がわからない場所では、正しい位置を探して動くこと自体が割り込みに見える。誰に悪意がなくても、こういう行き違いは起きるのである。

「5500 THB」のQRコード

何度行き来しても最後尾がわからず、途方に暮れていた筆者は、コンサート自体を諦めることも考え始めていた。

そのうち、人混みの中を動き回って係員に質問している中国人ファンのグループがいることに気がついた。そのうちの一人が、係員にスマートフォンを見せていて、画面にはQRコードと「5500 THB」の文字があった。

自分と同じ種別のチケットだ。

グループは少し進んだ先で、別の警備員にも質問していた。筆者もその直後に同じ警備員に確認し、彼女たちの動きについていくことにした。案内してもらったわけではなく、こちらが勝手についていったのだが、これが大正解だった。

ちょうどその頃、壁の先で混線していた列を整理し直す動きが始まっていた。(筆者にとってはまさに文字通りの)救世主グループに続いて新しい待機場所に移り、あとはこの人たちの後ろにいれば大丈夫だろうと思えた。

12時30分ごろ、ようやく正しい列に並んだ。

ようやく並べたTrip.comのチケット引き換え待機列。 列の整理が始まり、筆者が5,500 THBの券種の列に並べた頃。

5. そこから1時間50分の待機

暑さと空腹

記録によると、筆者が紙チケットを受け取ったのは14時20分頃だった。なので、正しい列に並んでからの待ち時間は約1時間50分という計算だ。その間、列は少しずつ進んでいて、止まっていたわけではない。

その日の会場の天気は、曇っていたが暑かった。記憶では気温が30度前後で、お腹も空き、喉も渇いた。

それでも飲み物を買いに行く気になれなかった。飲食物の持ち込み制限がどこまで適用されるのかわからない。セキュリティチェックの外に出て戻れるのかわからない。ようやく見つけた列を離れたら、同じ位置に戻れる保証もない。飲食物については、実際に禁止されていたのかは確かめていなかったが、不確定要素がこうも重なると、人間、列を離れられなくなるものだ。

前に並んでいた中国人ファンが携帯扇風機を使っていて、その風がときどきこちらにも流れてきた。ありがたかった。

スタッフが列を作り直していく

待っているあいだ、スタッフは列の運営を段階的に変えていった。

  1. 壁の直後で列を区切った。折り重なった列をそのまま伸ばすのをやめ、壁の先の広いスペースに観客を誘導して、新しい待機場所を作った。
  2. 列の区切りに係員が立ち、観客にチケットの券種を尋ねるようになった。
  3. 尋ねた券種ごとに観客を振り分け、券種別の待機列を作った。どの列がどの窓口につながるのかが、前よりわかるようになった。
  4. 壁より手前の窓口へ続く列が短くなると、後方の待機場所から人を送り込むようにした。
  5. 引き換えが終わった券種の窓口を整理し、まだ人が残っている券種に窓口や列を回した。
整理が進められるチケット引き換えの行列。 写真のように掲示を工夫するなど、スタッフが券種を確認して観客を振り分け、窓口へ続く列を作り直していた。

最初は観客が自分で正しい列を探さなければならなかったのが、途中から係員が券種を確かめて誘導するようになった。最初の列の作り方には問題があったが、現場はそれを放置せず、状況を見ながら変えていたのである。この点については、評価したい。

改善の前後で混乱はあっても、最初から最後まで怒号が飛ぶようなことはなかったことは申し添えておく。

オンラインで買うことと、現地で受け取ること

筆者はチケットを日本からオンラインで買った。前節に書いたとおり、販売の窓口は旅行予約サイトTrip.comだった。

そのあと入場までには、実名登録、QRコード、パスポートによる本人確認、紙チケットの発行という手続きが残っていて、最後の段階は会場の現場が担っていた。

海外から多くのファンが集まる公演では、この受け渡しの部分も、販売と同じくらい観客の体験を左右する。Trip.com、主催者、会場運営者のあいだで、引き換えの運営がどう分担されていたのかはわからない。

この辺りも含め、タイのエンターテインメント産業の国際展開については、第4章で改めて考えることにする。

6. 14時20分

窓口の前

前に残るのが10人ほど、5人ほどになったところで、係員からパスポートを用意するよう言われた。

紙チケットの引き換え窓口付近。 見えにくいが、立て札のようなものが立っている辺りが引き換えデスクになっていた。順番が近づくと、スタッフから本人確認のためにパスポートを用意するよう案内された。

周りを見ると、ワインレッド色の中国本土のパスポートを持っている人が、とても多い。タイのコンサート会場で、これだけ中国のパスポートが並んでいるのは面白かった。

全くの偶然だが、筆者の日本の10年旅券も赤系統で、表紙の色がかなり似ている。書いてあるのが「PEOPLE'S REPUBLIC OF CHINA」ではなく「JAPAN」という違いは、もちろんあるけれども。

そして、いよいよ自分の番が来た。

本人確認

窓口でまずTrip.comのQRコードを見せると、係員に「Passport?」と聞かれた。日本のパスポートを渡すと、係員は表紙の「JAPAN」を見て一瞬目を丸くし、そのあとニコニコしていた。理由はわからないが、たくさんの中国パスポートを見ていたところに、突然違う文字が飛び込んできたので、驚いたのかもしれない。

Trip.comのQRコードとパスポートの確認が終わり、紙チケットを受け取った。14時20分。駅に着いてから約2時間20分が経っていた。

水とサンドイッチ

チケットを受け取って早々に、筆者は目の前の売店で、ペットボトルの水を2本とサンドイッチを買い、その場で食べた。空腹も喉の渇きも限界だったのである。

チケット引き換え後に購入した水とサンドイッチ。 14時20分に紙チケットを受け取り、長い待機を終えてようやく飲食できた。達成感もありつつ疲労感も負けていない。

次節では、会場のブースとファンたちの様子を書く。


☕️よかったらコーヒー一杯。 https://buymeacoffee.com/mink_obs

著:霧星礼知(min.k) / リサーチ・構造支援:Claude Opus 5.5、ChatGPT / AI-assisted / Structure observation


For international readers

This is the third part of Chapter 2 of the LingOrm feature, covering the author's experience on Day 1 of LingOrm's "THE WORLD BETWEEN US" concert at IMPACT Arena, Bangkok, on October 17, 2026. The author had bought a ticket-and-hotel package on Trip.com, which required exchanging a QR code and a matching passport for a physical ticket on site between 11:00 and 17:30. After traveling by MRT and passing through a quiet, hot exhibition hall, the author found the ticket windows clearly labeled by price tier, but could not find where the queues ended, as they folded around a wall into a separate space. While searching, the author was glared at by a Chinese fan, likely mistaken for a queue jumper, and eventually found the right line by following a group of Chinese fans holding the same 5,500 THB ticket. During the roughly 1 hour 50 minute wait, staff reorganized the queues in five steps: splitting the line, asking each person's ticket tier, forming tier-specific lines, feeding people forward as front lines cleared, and reallocating windows to tiers still in demand. The author received the physical ticket at 14:20, about 2 hours 20 minutes after arriving at the station, then bought two bottles of water and a sandwich.

Keywords

LingOrm, THE WORLD BETWEEN US, IMPACT Arena, Muang Thong Thani, Trip.com, ThaiTicketMajor, ticket exchange, queue management, event operations, Chinese fandom, Thai entertainment, Bangkok, MRT Pink Line, passport verification, overseas fan travel

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